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モンドリアン ⇒ コンスタント ⇒ コールハース
09.02.2011 (Wed)

直線とカラーの美しい構成で知られるオランダのアーティストにP.モンドリアンがいる。デン・ハーグの市立美術館は彼の作品のコレクションでも有名だ。

彼が「コンポジション」と呼ばれる一連の作品を発表する直前の作品が気になる。長い間続いてきた具象の芸術から新しい抽象へと飛び立つ間際のはち切れんばかりのエネルギーとイマジネーションがそこに満ちているからだ。

P.MONDRIAAN, FLOWERING APPLE TREE, 1912
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上の絵はほぼ抽象絵画だが、未だ「花咲く林檎の木」という具体的なタイトルが与えられている。この満開の林檎の木から二年を経て抽象の実が成る。下の絵はかなり林檎の木と似ているが、もうこれは木ではない。その後華々しく展開されることになるモンドリアンの作風はここに生まれた。新しい表現の世界への変革を成し遂げようという意図がこれらの絵に溢れている。

P.MONDRIAAN, COMPOSITION IV, 1914
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*  *  *

この変革期のモンドリアン作品に多くのインスピレーションを受けたに違い無い二人のオランダ人建築家がいる。コンスタントとレム・コールハースだ。

コンスタントは彼の理想とするユートピア都市をニューバビロンと題した。中世から長い間続いてきた都市とは異なる新たな次元の都市を夢見た。現状から理想へのジャンプ。変革への希望。そのイマジネーションが詰め込まれたこの作品は、モンドリアンの過渡期の作風と多くのことが重なる。

CONSTANT, NEW BABYLON, 1966
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そしてコールハース。21世紀の幕明けとともに、彼は社会主義国家から変革し経済発展の著しい過渡期の中国で劇場のコンペに参加する。劇場というプログラムの読み替えに注目が集まりがちなこのプロジェクトだがそれだけでは留まらない意味があるように感じる。このデザイン、そしてリプリゼンテーションの中には、彼がモンドリアンの過渡期の作品に見たエネルギー、もしくはコンスタントの作品に見たイマジネーションを、中国のそれと重ね合わせようという知的な意図がうっすらと見え隠れするのだ。

OMA, GUANGZHOU OPERA HOUSE, CHINA, GUANGZHOU, 2002
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Top▲ | by takeshimurakuni | 2011-02-11 09:44

ロッテルダムの設計事務所OMAで建築・都市について考える。「人生の夏休み」、「35歳のインターン」の続編です
by takeshimurakuni

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